第9回 木育・森育楽会 開催レポート「シビックプライドを育む木育・森育」

対面 2023年11月18日(土)11:00~19日(日)13:00
オンライン 2023年11月18日(土)14:30~18:00

第9回 「木育・森育楽会」を開催しました。本イベントでは、会場となった上野村の文化や活動を施設見学や基調講演から学び、木育・森育楽会のこれまでの活動報告を行いました。まずは「森の体験館」にて開会のご挨拶。
対面参加者が村内の施設を回るエクスカーション中の時間を利用し、木育・森育楽会実行委員長の浅田先生が、会場となる「森っ子」について、設計デザインを担当した海田修平さんと一緒に、オンライン参加者の皆さんに施設内を紹介しました。
そして壁にずらりと貼られたうちわを使った「推しの木プロジェクト」について、後程詳しく…ということで一紹介を。
そんな中、対面参加者のみなさまが会場に入り、本会がスタートしました。

さて、今回は大学生参加者の方にレポートをお願いしました。彼らが綴る楽会の様子をご一読ください。

木育・森育楽会 11月18日(土)

黒澤村長よりご挨拶

はじめのご挨拶には上野村の黒澤村長をお迎えし、上野村でエネルギーの「地産地活」に力を入れ、バイオマス発電やきのこ生産場の整備を通じて新しい雇用と産業を生み出していること、子育てと子育ちを応援し、ケルナー遊具のある公園の建設などを進めていることを紹介していただきました。また、上野村が上記以外にも脱炭素の活動で国から選ばれている理由の一つに今回のテーマである“シビックプライド”があることについても言及していただきました。

基調講演「木の文化・森の文化」
内山節氏(哲学者)

基調講演では、哲学者の内山節先生にお越しいただき、木の文化と森の文化の違いやそれらを同一なものとして扱うことへの疑問や、山の文化についてなど幅広くお話をいただきました。内山先生は、森林が環境保全に果たす重要性や、木と森が持つ文化的な価値について深く語りました。また、森の商品化において、上野村の森がその地域の生活と密接に結びついていることを強調しました。そして、森の文化や歴史、神話に触れながら、木と森を大切にする意義について語りました。

事例報告1: 上野村の木材利用と木育

事例報告1では、佐藤岳利さんのファシリテーションのもと、上野村役場振興課長の佐藤 伸さん、上野村森林組合木工課の小松 愛さん、上野村地域おこし協力隊の逢見 祥平さんから各々の活動の紹介をしていただきました。

佐藤さんからは、上野村が有数の揚水発電を有していること、広葉樹のシオジが村の木であることを説明していただきました。子育て・子育ちにも注力し、ウッドスタート宣言という、1歳の誕生日に木製のおもちゃをプレゼントする取り組みも紹介されました。さらに、木地師が木工業のルーツであることから、地産地活を通じた木材の有効活用に取り組んでいることも説明されました。

小松さんからは、地元の木を使ったおもちゃや雑貨のデザインから製造までの流れを教わりました。具体的な製品として、川のおさかなつりや1歳時へのプレゼントなどを取り上げ、上野村の森の恵みを活かした商品づくりについて詳しく説明されました。

逢見さんからは、これまでの自らの経歴とそこからどう生きたいのかというキャリアの話を伺いました。

事例報告2: 学校教育と木育に関すること

事例報告2では、上野小学校校長の梯 直人先生、野村不動産エリアマネージャーの石原 菜穂子さんと横川 大悟さんから各々の活動報告をしていただきました。

梯先生からは、「自分から」というテーマを掲げた学校の取り組みについてお話しいただきました。子どもたちはカプラを使って創造的な遊びを行い、森林の視点から学ぶ機会が設けられていることの説明をいただきました。カプラで遊ぶだけでなく、職人さんの工房を訪れ、地域の資源や技術について学んでいるそうです。また、子どもたちは村のためにできることを模索し、その過程でシビックプライドが醸成され、これにより、地域社会への参加と誇りを感じられるような教育環境が整えられているということを説明していただきました。

野村不動産のお二人からは、魅力的な街になるためにはどんなものが建っているかだけでなく、その地域に住む人が自身の地域に誇りを持てるかというシビックプライドの観点が持続可能な魅力になるとお話をいただきました。

また、上記に関連して、埼玉大学の浅田先生とゼミ生の方々と行われている「推しの木」プロジェクトに関しても説明いただきました。
自らの地域に生息している自分だけの好きな樹木を見つけ、どんなところが好きなのかなどをうちわに書きながら、最近話題の推し活の一環で地域の自然を好きになれるプログラムになっており、上野村の小学生も楽しんで活動している様子が動画で映されていました。

その後、森林・林業・木材・住宅関連情報についてご専門の林材ジャーナリストである、赤堀楠雄さんから以下のコメントを頂きました。

取材でもなんでも関係づくりが大事だと思うが、その一歩は「好きになれるかどうか」だと感じた。なにか猛烈に好きだと言えることがある。老若男女がそうなるといいなと感じた。

いつものことではありますが、盛りだくさんな内容なのに、時間が足りないという状況になり、「続きは懇親会で!」と終了した木育・森育楽会。会場を宿泊施設「ヴィラせせらぎ」に変え、熱い話が続きました。
今回は対面でお越しいただけなかった皆様、この懇親会以降も楽会の一部です。次回はぜひ、全部お付き合いくださいますようお願いいたします。

村民参加・木育ワークショップの開催 11月19日(日)

村民参加・木育ワークショップの開催

朝、ホテルを出発後「川の駅上野」に集合し、まず、楽会参加者の皆さんに様々なワークショップキットをご覧いただきました。最初に3人ほどのグループになって、各キットの担当分けをし、作り方を学びます。その後、上野村の小学生と、ボランティアで滞在している大学生が参加。各自好きなワークショップを体験していただきました。

楽会参加者は急きょ指導者となり、まず自分が担当するワークショップキットの良さを売り込むところから始まりました。すでに指導経験のある方、初めての方など多種多様な指導者が生まれ、それぞれの技量で子どもたちに作り方を教えます。

その後、他のワークショップを先生と生徒を交代しながら体験したりなど、活気ある時間となりました。

木育ワークショップキットは、クリスマスツリー、えんぴつ、コースター、木箱、ウッディ君、お箸、スプーン、リュールシロホンなど、全国の木育推進地から送っていただいたもの。改めて木で作れるものの幅広さと、有用性を感じていただける機会となりました。

参加者から「小学生はやはりこちらでは考えつかないほどアイディアを持っていてそんな彼らを満足させるのではなくて、彼ら自身が自由に自分のしたいところまで表現できるツールが求められているのかなと考えました。」との感想をいただきました。

◎主催  木育・森育楽会実行委員会/NPO法人木育・木づかいネット
◎共催  上野村     
◎後援  群馬県   
◎協力  佐藤岳利事務所/上野村森林組合/上野村立上野小学校/野村不動産株式会社/ヴィラせせらぎ/うえのテレビ/カイダ建築設計事務所/株式会社ハルキ/石川県森林組合/優良教材株式会社/NPO法人木育フォーラム/ヴィソン多気株式会社

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